ファンの間で今も伝説として語り継がれているのが、1990年代半ばから後半にかけての通称「天使時代」と呼ばれるビジュアルです。陶器のように透き通った白い肌、彫刻のように立体的な顔立ち、そして憂いを帯びた大きな瞳は、当時の音楽番組やミュージックビデオを通じてお茶の間に強烈なインパクトを与えました。
特に1996年のシングル『flower』や1997年の『虹』、1998年の『HONEY』『snow drop』リリース当時の映像では、フェミニンな衣装やロングヘア、三つ編みや編み込みを取り入れたヘアスタイルを披露。男性がフェミニンな要素を纏うことがまだ珍しかった平成初期において、HYDEが提示した「中性的な美貌」は単なる女装や奇抜さではなく、高潔な芸術作品としての完成度を誇っていました。
自著『THE HYDE』(2012年刊行)のなかで本人が「自分のなかにある女性的な部分や美意識を素直に表現していた」と述懐している通り、作られたアイドル性ではなく、内面から滲み出る美意識が視覚表現として昇華された結果、後世に語り継がれる神格化されたビジュアルが誕生したのです。