日産スカイライン鉄仮面は一体なぜ今なお熱狂的な人気を誇るのか、その核心は1983年8月のマイナーチェンジにまで遡ります。ポール・ニューマンを広告塔に起用して「ニューマン・スカイライン」と親しまれたR30型の前期型から一転、後期型で施されたフェイスリフトは、当時の自動車業界とファンに強烈な視覚的衝撃を与えました。
最大の特徴は、従来のラジエーターグリルを完全に撤廃したフラットなフロントパネルと、極限まで薄型化された異型ヘッドランプの組み合わせでした。この冷徹で無機質な造形が、中世ヨーロッパの騎士が身につける兜や甲冑のバイザーを連想させたことから、自動車専門誌や愛好家の間で自然発生的に「鉄仮面」と呼ばれるようになった経緯があります。このスカイライン鉄仮面名前の由来となった大胆なデザインは、単なる奇抜さ狙いではなく、当時の日産開発陣が掲げた「空気抵抗の低減(Cd値改善)」という純粋な空力工学の産物でした。
開発を主導した設計主査の桜井眞一郎氏は、機能美こそがスカイラインの本質であると常に説いていました。フロントノーズ先端の開口部を塞ぎ、冷却用エアはバンパー下部の開口部から効率的に導くというエアロダイナミクス設計は、当時の市販乗用車としては極めて前衛的な試みでした。感情を排除したかのようなサイバーパンク的な佇まいは、折しも迎えた1980年代のハイテクブームと完全に共鳴し、ストリートにおける伝説のシンボルとして定着していったのです。