産直市などで手に入る「おどろき」や「まどか」といった品種、あるいはまだ収穫したてでカリカリとした食感の桃を湯むきしようとする行為は、プロから見れば自殺行為に近い。ペクチンが頑強に固まっているため、標準の湯むきでは皮が全く剥けず、無理に剥こうとすれば爪が果肉に食い込んで傷だらけになってしまう。
それでも「どうしても包丁の削り跡を残さず、つるりとした見た目で剥きたい」という場合に威力を発揮するのが、電子レンジを活用した桃の皮がツルンと剥ける裏ワザだ。
やり方は驚くほどシンプルだ。桃を水洗いして十字に切れ込みを入れた後、耐熱皿に乗せて水大さじ1を振りかける。ラップをふんわりとかけ、500Wの電子レンジで20〜30秒加熱する。電磁波が果皮直下の水分を優先的に振動・加熱し、果肉深部を生のまま保ちつつ、皮との境界線にあるペクチン結合だけをピンポイントで緩めてくれる。レンジから取り出した直後に氷水へ落とせば、固い桃の湯むきであっても驚くほどあっさりと皮を外すことが可能になる。
果肉を崩さない「桃の種の取り方と切り方」
皮が綺麗に剥けた後に待ち構えている関門が、中央に鎮座する硬い種を取り除く作業だ。手で無理に握りつぶしてしまっては、ここまでの苦労が水の泡となる。現場でプロが愛用する分割テクニックを伝授しよう。
・アボカド方式(果肉がしっかりしている場合):桃の縫合線(縦に入っている窪みの筋)に沿って、包丁の刃が種に当たるまで垂直にぐるりと一周切り込みを入れる。両手で桃の左右を優しく持ち、互い違いに軽くひねることで片側の果肉が種から外れる。残った種はスプーンの柄を使ってえぐるように外す。
・くし形先切り方式(完熟で柔らかい場合):皮を剥いた(あるいは剥く前の)桃をまな板に立て、種を避けるように左右から削ぎ落とし、最後に種の周りの果肉を切り落とす。柔らかい桃をひねると果肉が潰れるため、最初からくし形に切り出すのが最も安全だ。