一連のオフィス移転や拠点戦略を単なる「引っ越し」として片付けるのは早計です。組織社会学および企業不動産戦略(CRE)の視点から見ると、SHIFTの動きは急成長するテクノロジー企業が直面する「スケールアップの壁」を突破するための教科書的な一手と言えます。
創業期から拡大期へと移行する際、企業はアイデンティティの希薄化に苦しみます。従業員が数百人から数千人、1万人へと膨れ上がる過程で、田町という堅実なビジネス街で培った「品質保証への実直さ」を基盤にしつつ、麻布台ヒルズという日本最先端の知の集積地へ旗艦を移したことは、優秀なタレントを惹きつけるための極めて高度な心理的投資です。オフィスとは単なる作業場ではなく、社員に対して「自社はどこへ向かっているのか」を無言で伝え続ける最強のインナーブランディングツールに他なりません。
この環境変革を踏まえ、読者が同社と関わる上での適性判断基準は以下の通りです。
【SHIFTの環境に向いている人】
・合理的なルールや数値化された成果基準を心地よいと感じる人
・最先端のオフィスインフラやリモートを駆使し、自律的にアウトプットを出せる人
・変化のスピードをポジティブに楽しみ、組織のスケールアップに知的好奇心を持てる人
【SHIFTの環境に慎重になるべき人】
・旧来型の「同じ固定席で同じメンバーと長年作業する」環境を望む人
・手取り足取りの指示や、情緒的なつながり・年功序列の安心感を優先したい人
・オフィスの華やかさや企業規模のイメージだけに惹かれ、実務でのシビアな要求を想定していない人