音楽ファンの間で頻繁に混同されるのが、ソウルとR&Bの違いです。歴史的文脈を紐解くと、ソウルミュージックは1960年代、公民権運動の高まりとともにR&Bの中から派生したサブジャンルです。よりゴスペルの宗教的情熱や黒人のアイデンティティ(魂=ソウル)をむき出しにした泥臭いシャウトや熱狂的な歌唱がソウルと呼ばれました。現在では、オーセンティックな生楽器主体のヴィンテージなサウンドを「ソウル」、現代的なシンセサイザーや打ち込みドラムを取り入れた洗練されたサウンドを「コンテンポラリーR&B」と呼び分けるのが業界の通例です。
また、ネット上の掲示板やSNSで定期的に紛糾するのが「スロージャム」という呼称の扱いです。「スロージャムはバラードと何が違うのか?」という疑問に対する明確な答えは、「歌詞の親密さと夜のムードに特化したR&Bバラード」であるという点に尽きます。
一般的なポップバラードが「家族愛」「友情」「失恋の切なさ」など普遍的なテーマを広く歌い上げるのに対し、Boyz II Menの「I'll Make Love to You」に代表されるスロージャムは、深夜のベッドルームを連想させるような官能性、親密な男女の愛の駆け引きをテーマにしています。音響的にも、サブベースの深い重低音、艶やかなエレピ(エレクトリックピアノ)、耳元で囁くようなコーラスワークが幾重にもレイヤーされており、リスナーを陶酔させる空間作りに徹しています。