ふたりの運命が交錯したのは、慶應義塾大学の図書館だった。同じ法学部に在籍していた石破茂氏は、偶然見かけた彼女の圧倒的な美しさと知的な横顔に文字通り一目惚れしたという。
「こんなにきれいな人がこの世にいるのか」——石破氏の衝撃はすさまじかった。試験勉強用のノートを見せてもらう口実を作っては距離を縮めようと奮闘する日々が始まる。寡黙で理論派、どこか武骨だった若き日の石破氏にとって、佳子さんはまさに高嶺の花だった。
卒業式を控えたある日、意を決した石破氏は「結婚を前提に付き合ってほしい」と告白する。だが、佳子さんの返答は思いがけないものだった。「弁護士を目指すとおっしゃっていたのに、銀行に就職されるのは初志貫徹ではないのでは」。安易な妥協を許さない彼女の毅然とした態度は、石破氏に深い感銘を与え、一度は友人関係のままそれぞれの進路へと歩み出すことになった。