楽曲を十全に理解する上で欠かせないのが、タイトルの直接的な元ネタとなった史実の「レッド・パージ」に関する知識です。1940年代後半から1950年代初頭にかけて、第二次世界大戦後の冷戦構造が激化するなか、アメリカでは「マッカーシズム」と呼ばれる過激な共産党員狩りが吹き荒れました。これに呼応する形で、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)の指導下にあった日本国内でも、公務員や民間企業から共産主義者とみなされた数万人規模の人々が職場を追放された歴史的事実が存在します。
悪ノPはこの史実の狂気を巧みに抽出し、自身が展開する壮大な架空世界「エヴィリオス年代記」の文脈へと見事に昇華させました。エヴィリオス世界のなかで本作が位置づけられる舞台は、国家権力や秘密警察が暗躍し、反体制派や魔女の残党を徹底的に炙り出す過酷な時代です。
ファンコミュニティの間では、楽曲に登場する査問官たちが、エヴィリオス史における神聖レヴィアンタやマーロン国などの権力機構、あるいは「悪ノ大罪シリーズ」に連なる因縁の糸にどう絡んでいるのかが熱く考察されてきました。歴史上のイデオロギー闘争をファンタジーの皮膜で包み直すことで、特定の時代を超えた普遍的な「権力犯罪の構造」が浮き彫りにされているのです。