生命活動の潤滑油とも呼べる亜鉛ですが、体内では一切合成できず、貯蔵できる器官も限られているため、日々の食事からコンスタントに補給し続ける必要があります。厚生労働省の公表データをもとに編集部が再検証した1日の亜鉛推奨摂取量は、成人男性で10〜11mg、成人女性で8mg(妊婦・授乳婦はさらに+2〜4mgの付加量)です。一方で、耐容上限量は成人男性で40〜45mg、成人女性で35mgと設定されています。
臨床現場の医師や管理栄養士への取材によると、血液検査でALP(アルカリフォスファターゼ)値や血清亜鉛値が基準を下回っている潜在的な欠乏患者が後を絶ちません。自覚症状として現れる亜鉛不足のサインと症状には、以下のような特徴的なシグナルが存在します。
・舌の表面にある「味蕾(みらい)」の新陳代謝が滞ることによる味覚障害・味の違和感
・免疫グロブリンの産生低下に伴う風邪の引きやすさ、口内炎の長期化
・ケラチン合成の不全による抜け毛の増加、爪の白い斑点や割れやすさ
・細胞の修復速度低下による慢性的な肌荒れ、傷の治りの遅れ
・神経伝達物質の代謝異常が引き起こす集中力の散漫、気分の落ち込み
食生活の欧米化や手軽なコンビニ惣菜への依存、過度な単品ダイエットが重なることで、知らず知らずのうちに体が飢餓状態に陥っているケースが目立ちます。健康診断で「異常なし」と判定されても、不定愁訴に悩まされているなら、まず亜鉛バランスを疑うべきです。