2010年版のミシュランガイド東京で三つ星を獲得して以来、長年にわたり三つ星の座を守り続けていた「鮨 さいとう」が、2020年版のセレクションから突如姿を消した出来事は、世界中のフードジャーナリズムに大きな衝撃を与えました。当時、一部のネットメディアでは「料理のクオリティが落ちたのではないか」といった根拠のない憶測が飛び交いましたが、事実はまったく異なります。
ミシュランガイドの発行元が公式に示した見解は明確でした。ミシュランの評価基準の根底には「読者である一般の旅行者や消費者が予約を取り、実際に訪問できること」という大原則が存在します。しかし、「鮨 さいとう」は既存客の予約で翌年まで完全に席が埋まり、一般向けの電話予約やオンライン予約の受付を事実上完全に停止していました。
つまり、評価が下がって星を剥奪されたのではなく、「一般の誰もが予約できる店」というミシュランの掲載要件から外れたことによる選定対象外となったのが真相です。同じく三つ星の常連だった「すきやばし次郎 本店」も同様の理由で掲載から外れており、これは店側のクオリティ低下ではなく、むしろミシュランの評価スケールすら超越してしまった孤高の存在であることの証明にほかなりません。