中華料理の炒め物に使われるイメージが強いオイスターソースですが、おでんにオイスターソースを入れる理由は、味覚センサーや食品科学の観点から明確に裏付けられています。その核心にあるのが「うま味の相乗効果」です。
一般的なおでん出汁は、昆布に含まれるグルタミン酸と、鰹節に豊富なイノシン酸の組み合わせによって成り立っています。ここに牡蠣のエキスを凝縮発酵させたオイスターソースを加えることで、貝類特有の第3のうま味成分であるコハク酸が加わります。異なる系統のうま味成分が3重に重なり合うことで、単調な醤油味とは一線を画す、舌の奥に残る奥深いコクと厚みが生まれます。
さらに、オイスターソースの製造過程で生じるメイラード反応由来の香ばしさと微量の塩分・糖分が、練り物や大根から溶け出す水分を受け止め、出汁全体の輪郭をくっきりと際立たせる効果も発揮します。