「ピラミッドはいつ作られたのか」という問いに対し、考古学的な標準年代論は明確な答えを出しています。私たちが一般にイメージする「ギザの3大ピラミッド」のうち、最大の規模を誇るクフ王の大ピラミッドが建設されたのは、紀元前2580年〜紀元前2560年頃、今からおよそ4500年以上前のことです。
エジプト文明そのものは、ナイル川流域のオアシス農耕が発展した先王朝時代を経て、紀元前3100年頃にナルメル王(メネス王)が上下エジプトを統一したことから本格的に始まりました。ピラミッドが精力的に建造されたのは、強力な中央集権国家が成立した「古王国時代(第3王朝〜第6王朝)」であり、とりわけ第4王朝のスネフェル王、クフ王、カフラー王、メンカウラー王の治世において、土木工学の頂点を極めるメガストラクチャーが次々と生み出されました。
この「紀元前2560年」という時代感覚をより直感的に理解するために、日本列島の歴史軸と比較してみましょう。この時代、日本列島は弥生時代の水稲耕作や卑弥呼の邪馬台国よりもはるか昔、「縄文時代中期」の真っ只中にありました。青森県の「三内丸山遺跡」に代表されるように、栗の木の栽培や大規模な集落形成、優美な火焔型土器が作られていた時代です。日本列島で人々が狩猟採集と豊かな自然の恵みをもとに独自の定住生活を営んでいたまさにその頃、ナイル川のほとりでは平均2.5トンの巨石を230万個以上も積み上げる超巨大モニュメントが完成していたことになります。