国際的な評価を確立した映画監督の是枝裕和は、動画配信サービスがもたらした資金的恩恵を認めつつも、表現の画一化に対して強い危機感を表明し続けている。特に、人間の心の機微や割り切れない感情の揺らぎを描くヒューマンドラマが、データ主導のコンテンツ消費モデルによって漂白されつつある現状は見過ごせない。
「最初の5分で観客を惹きつける派手な展開」を求める配信プラットフォームのアルゴリズムは、沈黙や余白の中に真実を宿らせる演出手法と本質的に相容れない。作り手の作家性を尊重すると謳いながら、実際にはエンゲージメントスコアという数値で表現を縛り付けるシステムに対し、作家たちの静かな反発が広がっている。