毛馬閘門の魅力は土木設備の見学だけに留まりません。周辺一帯は、水辺の自然と日本文学の情緒が融合した複合的な散策拠点となっています。
第一の見どころは、閘門のすぐ東側に佇む「与謝蕪村生誕の地 記念碑」です。江戸中期の俳諧師・与謝蕪村は享保元年(1716年)、まさにこの摂津国毛馬村で生を受けました。堤防の上に立つ句碑には、望郷の思いを詠んだ名句「春風や 堤長うして 家遠し」が刻まれており、かつて蛇行する淀川の土手を歩いた文人の息遣いを肌で感じることができます。
閘門から南側へ目を転じると、大川沿いに約4.2キロメートルにわたって続く「毛馬桜之宮公園」の遊歩道が広がります。春には約4,800本もの桜が咲き誇る関西屈指の花見名所であり、閘門のデッキから見下ろす水路と桜のコントラストは見事というほかありません。
さらに北側に広がる淀川河川敷は、関西のローディやランナーにとっての聖地である「淀川河川敷サイクリングコース」の発着ポイントです。信号が一切ないフラットな舗装路が京都・八幡方面まで延々と続いており、毛馬閘門はそのランドマーク兼休憩スポットとして絶えず賑わいを見せています。
【アクセスと駐車場のリアル】訪問前に知るべき交通事情
毛馬閘門へのアクセスにおいて、最も留意すべきは「閘門専用の一般来訪者用駐車場が存在しない」という点です。自家用車で訪れる場合は、都島本通方面や都島消防署周辺のコインパーキングを利用し、そこから徒歩(約10〜15分)で堤防へ上がる必要があります。
公共交通機関を利用する場合は、Osaka Metro谷町線「都島駅」またはJR大阪環状線「桜ノ宮駅」からの散策が推奨されます。大阪駅前(北口)バスターミナルから発車する大阪シティバス(34号系統・守口車庫前行)に乗り、「毛馬橋」停留所で下車すれば、徒歩約5分で閘門の全景を見渡すポイントに到達可能です。