インターネット上の掲示板やSNSでは、碧南火力発電所とアンモニア混焼に関して極端な言説が散見されます。報道の現場から、特に誤解されやすい3つの盲点を客観的なデータに基づいて検証・是正します。
誤解1:「アンモニア混焼を始めればすぐに完全ゼロエミッションになる?」
これは明らかな事実誤認です。現在行われた実証はあくまで「20%混焼」であり、発電されるエネルギーの80%は依然として一般炭(石炭)を燃料としています。CO2削減効果は20%にとどまり、排出がゼロになるわけではありません。さらに、アンモニア自体に炭素は含まれないものの、高温燃焼に伴い有害物質である大気汚染物質「窒素酸化物(NOx)」が発生しやすくなるため、既存の脱硝装置の制御や専用低NOxバーナーの開発・運用が極めてシビアに求められます。
誤解2:「世界的な反発があるため、碧南の石炭火力は数年以内に廃止される?」
一部で囁かれる「早期全廃論」ですが、現実の電力需給を鑑みると短期間での完全停止は極めて困難です。中部エリアにはトヨタ自動車をはじめとする日本の基幹産業が集積しており、410万kWの巨大電源が即座に脱落すれば、中部電力パワーグリッド管内のみならず、周波数変換所(FC)を通じて融通し合う東京電力管内の予備率も危機的状況に陥ります。脱炭素の要請と電力安定供給という二律背反のなかで、政府もJERAも「段階的な置き換え」以外の現実的な選択肢を持てていないのが実情です。
誤解3:「釣り場周辺の温排水には有害な化学物質が含まれている?」
釣り人の間でも時折不安視される冷却水ですが、発電所の復水器を冷却するために使われているのは「汲み上げた海水そのもの」です。プラント内部で密閉された配管の外側を通過して熱を奪うだけであるため、放射性物質や特殊な有害化学物質が添加されているわけではありません。水温が外海より約7度ほど高い「ただの温かい海水」が放流されているため、魚が集まりやすい環境が生まれています。