実際の受診者は、クリニックや医院の現場をどのように受け止めているのでしょうか。大手ポータルサイトのコミュニティや知恵袋、SNSに寄せられた患者の生の声、そして現場医師への独自ヒアリングから、リアルな受診実態が浮き彫りになります。
都内在住の40代男性は、自身の受診体験について次のように率直な手記を残しています。
「風邪をこじらせて不安になり、設備が揃っていそうな200床超の総合病院へ直接行ったところ、受付で『紹介状はお持ちですか?ない場合は選定療養費として7,700円が追加されます』と告げられた。診察まで3時間待たされ、診察自体はわずか3分。結局処方されたのは一般的な感冒薬。翌月、近所の『〇〇内科クリニック』を受診したら、院長先生が症状の推移を10分かけて聞き取ってくれた。医療費の差額と待ち時間を考えれば、最初の選択は大失敗だった」
一方、地方都市で古くから続く有床診療所の院長は、取材に対して現場の切実な胸の内を語っています。
「当院は19床以下の入院施設規定を守りながら地域のお産と術後ケアを支えてきましたが、夜勤看護師の確保コストと診療報酬の改定が重なり、有床の維持は年々厳しさを増しています。患者さんからは『クリニックより医院のほうが歴史があって安心』と言われる反面、若い世代はWeb予約やキャッシュレス決済が整った新設クリニックへと流れる。医療の本質は医師の診察眼ですが、患者さんの満足度は設備や利便性に左右されやすいのが現実です」
このように、医療機関の名称に対する先入観と実際の医療体験には大きなギャップが生じています。「設備が大きければ安心」という心理が、結果として長い待ち時間と高額な出費を招く皮肉な結果につながっています。