俳句や古典文学の世界において、「小春日和」「小春」は冬の季語(初冬)として定着しています。与謝蕪村や松尾芭蕉をはじめとする俳人たちも、冬の気配が忍び寄る中で感じる一瞬の穏やかさを句に詠み込んできました。
例えば、蕪村の句に「小春凪(こはるなぎ) 船行くあとの 漣(さざなみ)かな」という名句があります。小春の時期の穏やかな海を表現したもので、寒冷な北風が吹く冬の直前に見せる、自然の静寂と温もりを見事に捉えています。
また、欧米でも同様の気象現象を捉えた表現が存在します。北米では晩秋の暖かな晴天を「インディアンサマー(Indian Summer)」と呼び、イギリスやヨーロッパ圏では「聖マルティヌスの夏(St. Martin's Summer)」などと称されます。寒冷な冬を目前にして訪れる奇跡のような穏やかな日々を尊ぶ感情は、洋の東西を問わず共通の感性であると言えます。