「宇宙科学館はファミリー層の遊び場に過ぎない」という先入観を抱いているなら、今すぐその認識を改める必要があります。近年、各館がこぞって導入している体験型設備は、エンターテインメントの枠を大きく踏み越え、宇宙飛行士の基礎訓練や工学的力学を直感的に追体験できる本格設計が施されているからです。
なかでも来館者を驚かせるのが、地球上では決して味わえない物理法則を身体全体で体感する大型シミュレーターです。月面重力(地球の約6分の1)を再現したジャンプ体験や、三次元の回転運動による無重力酔い耐性を試すようなジャイロ型展示は、大人であっても足元をすくわれるほどの衝撃をもたらします。現場を取材すると、同伴した保護者が「子どもの付き添いのはずが、気付けば自分の方が夢中で操作レバーを握りしめていた」と興奮気味に語る場面に幾度も遭遇します。
さらに見どころとして見逃せないのが、宇宙航空研究開発機構(JAXA)や大学研究機関が直接監修した実物大模型と深宇宙探査の解説コーナーです。ロケットエンジンの燃焼構造やイオンエンジンの推進原理を克明に示す断面展示は、製造業に携わるエンジニアすら唸らせる解像度を誇ります。知覚を刺激する体験型展示の真相とは、決して子ども騙しのアトラクションではなく、日常の重力や常識から解き放たれる「知的好奇心の極限テスト」に他なりません。