『さよならエレジー』の誕生を語る上で欠かせないのが、俳優・山﨑賢人と菅田将暉の特別な友情関係です。ふたりは10代の駆け出し時代に出会い、プライベートでも服をシェアし合ったり互いの自宅を行き来したりするほどの親友として知られていました。2018年1月期に放送された日本テレビ系ドラマ『トドメの接吻(キス)』で山﨑賢人が連続ドラマ単独初主演を務めることが決まった際、菅田将暉のもとに舞い込んだのが主題歌のオファーでした。
当時のラジオ番組や雑誌インタビューで菅田本人が明かしたところによると、オファーを受けた瞬間、喜びと同時に「親友の晴れ舞台を絶対に中途半端なもので汚すわけにはいかない」という強烈なプレッシャーと覚悟が芽生えたといいます。単なるタイアップの枠に収まらず、ドラマの主人公・堂島旺太郎の生き様と、主演を背負う山﨑賢人の背中を力強く蹴り飛ばすような推進力を持った楽曲が必要でした。そこで菅田が楽曲制作のパートナーとして白羽の矢を立てたのが、すでに深い信頼関係を築いていたシンガーソングライターの石崎ひゅーいでした。
制作は、机上の打ち合わせではなく、菅田将暉と石崎ひゅーいが夜な夜な語り合い、感情を吐露し合う濃密なセッションからスタートしました。山﨑賢人という男のピュアさと脆さ、そしてドラマが描く歪んだ愛の世界観をどう音に落とし込むか。議論を重ねる中で「傷だらけになりながらも前を向くロックナンバー」という骨格が定まっていったのです。
さらに世間を驚かせたのが、公式ミュージックビデオ(MV)への山﨑賢人本人の出演でした。楽曲のリリースに先駆けて公開されたMVでは、街を彷徨う菅田将暉と、孤独な佇まいで佇む山﨑賢人が交差する姿が描かれ、ファンや音楽関係者の間で大きな話題を呼びました。互いに第一線を走る若手実力派俳優でありながら、利害関係を超えたリスペクトで結ばれたふたりの関係性が、映像にも生々しい説得力を与えていたのです。