本作に対する「羽生結弦本人の反応」についても、ファンの関心は常に高く維持されてきました。報道や関係者の証言を丹念に精査すると、羽生結弦自身が記者会見や単独インタビューの公式な場で『ユーリ!!! on ICE』の内容について長々と持論を語った記録は存在しません。トップアスリートとして特定の商業アニメ作品と過度に自己を結びつけることを慎重に避けていた姿勢がうかがえます。
しかし、全くの無反応だったわけではありません。大会のエキシビション練習やアイスショーのバックヤードにおいて、仲の良い海外スケーターたちと本作のオープニング曲に合わせてポーズを取るなど、フィギュア界で本作がブームになっている空気感を自然に楽しんでいた様子がファンの間でも目撃され、ネット上で大きな話題を呼びました。
一方で、海外スケーターたちの反応は凄まじいものがありました。ロシアの女子シングル選手であるエフゲニア・メドベージェワは、作中の熱狂的なファンであることを公言。公式グッズの着用写真やおにぎりクッションを抱いた姿をSNSに投稿し、勇利のコスプレまで披露するなど熱狂的な支持を示しました。さらに、ヴィクトルのモデルと目されたエフゲニー・プルシェンコも自身のSNSでアニメのクリップに触れ、敬意を表しています。
競技関係者や選手たちがこぞって本作を称賛したのは、リンクの冷気やブレードの削れる音、キス・アンド・クライでの心臓が張り裂けそうな緊張感など、実在のアスリートだけが知る過酷な競技実態が寸分の狂いもなく描写されていたからに他なりません。