放送当時のSNSやレビューサイト、大手掲示板のログを検証すると、世帯視聴率の低さとは裏腹に、視聴者の熱狂度は異様なほど高かったことが分かります。「仕事へのモチベーションが湧く」「ものづくりに関わる全ての人が見るべき」といった絶賛の声が溢れ、オリコンが調査するドラマ満足度ランキングでは初回から最終回まで常にトップクラスを維持し続けました。
この作品を特別なものにした要因の一つが、黒木華の連続ドラマ初主演としての圧倒的な求心力です。黒沢心という、ともすれば暑苦しくなりがちな熱血キャラクターを、愛嬌としなやかな説得力をもって体現しました。そして何より、コミック営業部の小泉純を演じた坂口健太郎の役柄が見事な共感を呼びました。希望しない部署に配属され「幽霊」と自嘲していた青年が、心との出会いや書店員との交流を通じて「自分の仕事の意味」に目覚めていくプロセスは、多くの若手社会人の胸を打ちました。
脚本を手掛けた野木亜紀子氏の構成力も際立っていました。登場人物の誰もがそれぞれの場所で懸命に戦っており、安易な悪人を配置しない優しい世界観。東京ドラマアウォード2016において脚本賞を受賞した際、審査員からも「群像劇としての見事な完成度」と称賛された事実は、本作のクオリティを雄弁に物語っています。