巷で繰り返される「離婚率の上昇」という言説に対し、公的データは異なる現実を突きつける。厚生労働省が公表する人口動態調査を精査すると、年間の離婚件数自体はピーク時を境に減少傾向を辿っている。にもかかわらず破局が増えているように錯覚される主因は、急激な婚姻件数の減少にある。
同年に婚姻届を出したカップル数と離婚届の件数を単純比較する「粗離婚率」の計算手法が、あたかも3割以上の夫婦が破綻しているかのような印象を世間に植え付けた。だが実態は、若年層の未婚化と晩婚化が急加速した結果、婚姻総数という分母が縮小したことによる数字の偏向にすぎない。実態としての分離傾向は、件数の多寡よりも「どの層が、どのような理由で離脱しているか」という質的変化にこそ表れている。