原作者の吾峠呼世晴が公式ファンブックなどで明かした鳴女の過去は、あまりにも凄惨で陰鬱だ。人間時代の彼女は、売れない琵琶演奏者であり、博打狂いの夫を持つ惨めな日常を送っていた。演奏の前夜に夫を殺害した際、手元が震えながらも素晴らしい演奏ができたという異常な経験から、彼女は「人を殺めてから演奏する」という狂気の習慣に取り憑かれていく。
鬼舞辻無惨との出会いも、次の犠牲者として彼を狙ったことがきっかけであった。命を奪おうとした相手が鬼の始祖であったという皮肉。無惨はその異常性と度胸を気に入り、彼女を鬼へと変えた。彼女の静けさの裏には、人間時代から培われた底なしの狂気が潜んでいるのだ。