久米宏の名を揺るぎないものにしたのは、テレビ朝日系列で1985年にスタートした『ニュースステーション』だ。それまでの硬質で淡々としたニュース番組の枠組みを根底から壊し、庶民の目線で情勢を切り取る斬新なスタイルを確立した。ネクタイを外し、時に政権に鋭いツッコミを入れる彼の姿は、日本における報道ジャーナリズムのあり方を根底から塗り替えた。
当時、TBSテレビ系列の『NEWS23』でキャスターを務めた筑紫哲也と共に、久米は夜の報道合戦を牽引した双璧であった。専門用語を一切排除し、図解や身近な例えを多用するニュース解説は、政治や経済に興味のなかった若者層をも惹きつけた。彼が築いたキャスター像は、現代のあらゆる情報番組の原点となっている。