コミックの実写化が時に厳しい評価を受けるなか、『のだめカンタービレ』の実写版が圧倒的な支持を獲得した最大の要因は、原作の世界観に対する徹底的なリスペクトと大胆な演出の融合にあります。漫画特有のデフォルメされたギャグ表現や、登場人物が吹き飛ばされるシーンをCGや擬音テロップを駆使して実写映像に落とし込み、コミカルさと人間ドラマの感動を絶妙なバランスで成立させました。
特に絶賛されたのが、主人公・野田恵を演じた上野樹里と、千秋真一を演じた玉木宏のシンクロ率の高さです。「ぎゃぼー」「むぎゃー」といった奇抜なセリフをこれ以上ない愛らしさで表現した上野樹里の怪演、そしてクールな佇まいと白シャツ姿で情熱的なタクトを振る玉木宏の気品は、まさに原作から抜け出してきたかのような衝撃を与えました。ネット上の評判やSNSの反応でも「この2人以外にのだめと千秋はあり得ない」という声が圧倒的多数を占めています。
さらに、ベートーヴェンの『交響曲第7番』をはじめとする名曲の数々が、登場人物たちの葛藤や成長と密接に結びついて響き渡るドラマ構造は、クラシックファンのみならず音楽に馴染みのなかった視聴者の心をも強く揺さぶりました。