作品の配役を決定する現場で、一体何が起きていたのか。ある現役のキャスティングディレクターが匿名を条件に口を開いた。「配役決定のプロセスにおいて、純粋な実力や適性以外の要素が働く場面はゼロではなかった。プロデューサーと特定のプロダクション幹部との個人的な距離感が、役の割り振りを左右することがあったのは事実だ」と語る。
表向きは公正なオーディションと見せかけながら、裏では密室での交渉や無言の圧力が存在した。希望を抱いて門をたたいた若者たちが、拒絶できない雰囲気に飲み込まれていく。その連鎖こそが、被害を表面化させにくくしていた最大の要因だった。