ビルの4階に足を踏み入れると、雰囲気が一変する。そこにあるのは、1964年の開館以来、数々の伝説を生み出してきた「紀伊國屋ホール」だ。ここは単なる附帯施設ではなく、日本の演劇史を語る上で欠かすことのできない「新劇の甲子園」として君臨してきた。
創業者の田辺茂一が抱いていた「本と演劇は文化の両輪である」という強い信念のもと、この劇場はつねに時代の最前線に立つ表現者たちに舞台を提供してきた。つかこうへい氏をはじめとする巨匠たちがここで熱弁をふるい、若き才能が脚光を浴びた。劇場で紡がれる言葉のエネルギーは階下の書店フロアとも共鳴し、日本文学の発展と深く結びつきながら、独自のカルチャーシーンを形成し続けている。