では、人間にとって「真の美しく自然な笑顔」とは何なのか。その解明に大きく貢献したのが、人間の表情と感情メカニズムを解き明かした著名な心理学者ポール・エクマン博士の研究だ。彼は、心からの自発的な喜びによって生まれる笑顔を、19世紀のフランスの神経学者にちなんでデュシェンヌ・スマイルと名付けた。
デュシェンヌ・スマイルの最大の特徴は、口角を引っ張る大頬骨筋の収縮だけでなく、目の周りを囲む眼輪筋が同時に収縮することにある。目尻に自然なシワが寄り、目がわずかに細くなるこの反応は、意思の力だけで意図的に作り出すことが非常に難しい。一方で、カメラの前などで意識的に作るビジネススマイルや社交辞令の笑いは、口元だけが動き、目元が全く変化しない。
自分の笑い方に自信が持てない人の多くは、この「目元が笑っていない状態」に陥っている。感情が伴わないまま形だけ整えようとすることで、かえって表情全体に引きつりが生じ、自分自身でも「ブサイクだ」と感じてしまう悪循環にハマってしまうのだ。