新幹線でわずか1時間の地方都市へ目を転じる。そこにはまったく異なる風景が広がっていた。長野県松本市や静岡県沼津市といった、これまで「ベッドタウン」や「観光地」として括られていたエリアに異変が起きている。
都心を離れた中堅層や優秀な技術者たちが、古民家やリノベーション物件を買い取り、独自の経済圏を作り始めている。ある30代のフリーランス設計者はこう証言する。「東京で年収1000万円を稼ぎ、満員電車で消耗する生活。ここで年収600万円を稼ぎ、心身の健康を保つ生活。どちらが豊かか、答えは自明でした」。
自治体の動きも素早い。過度な大企業誘致合戦を捨て、こうした「個の移住者」に対する税制上の優遇や通信インフラ整備に予算を集中させている。都市の空洞化と地方の再起動。ふたつの現象が同時に進行している。