ネット上のQ&AサイトやSNSでは、「模範解答を丸暗記してそのまま書けば満点になる」という短絡的なアドバイスが散見されます。しかし、このアプローチには見落とされがちな大きなリスクが潜んでいます。
審査に携わる高段者の査定現場を取材すると、最も警戒されているのが「意味を理解していない丸暗記による致命的な誤字・意味の破綻」です。例えば、「刃筋(はすじ)」を「刃筋(はすじ)」と書けず「刃先」と混同したり、「気剣体一致」の「体」を「態」と書き間違えたりする受審者が後を絶ちません。剣道用語は漢字一文字に明確な理合が宿っているため、誤字は単なる書き間違いではなく「概念を理解していない」と見なされるのです。
また、文字の乱雑さも大きな減点要因です。初段審査の受審者は中学生や高校生、あるいは大人になって再開したリバ剣(リバイバル剣士)など多岐にわたりますが、どれほど内容が合っていても、審査員が判読できない殴り書きは著しく心証を損ねます。武道における「礼法」は答案用紙の上でも試されているという認識を持つことが肝要です。