おせちにおけるれんこんには、主に「酢れんこん(酢蓮)」と「筑前煮(煮染め・がめ煮)」の2つの調理形態があります。これらは単なる味のバリエーションではなく、それぞれ異なる文化的な役割を持っています。
1. 酢れんこん(酢蓮)の持つ意味とお重の位置
酢れんこんは、れんこんを甘酢に漬け込んだ料理です。お酢の殺菌作用によって三が日を通して料理が傷まない「保存食」としての知恵が詰まっています。また、お酢で白く透き通るように仕立てることで「邪気を払い、清らかな心で新年を過ごす」という浄化の意味合いが加わります。
重箱の格式では、酢の物は基本的に「二の重(口取り・酢の物段)」に詰められます。赤唐辛子の小口切りを穴の中心に添えることで「紅白の彩り」を演出し、祝儀の華やかさを際立たせるのが伝統の作法です。
2. 筑前煮(煮染め)のれんこんが象徴するもの
れんこんを人参、ごぼう、椎茸、鶏肉などと一緒に1つの鍋で炊き合わせる筑前煮は、「家族が一丸となり、末永く仲良く暮らす(結びつきと調和)」を象徴しています。こちらは「三の重」または「与の重(四の重)」にたっぷりと詰められ、大地に根を張る根菜の生命力をいただく意味が込められています。