近年の住環境の変化は、家庭の調理器具の選び方にも大きな変革をもたらした。特に高層マンションや気密性の高い住宅の増加に伴い、部屋中に広がる煙や残存臭への不満が高まっている。秋の味覚の代表格であるサンマ(秋刀魚)を焼く際、火災報知器の作動を恐れて網焼きを敬遠する住人は少なくない。
こうした消費者心理のシフトにいち早く反応したのが食品・調理器具産業だ。焦げ付きを防ぐシリコーンシートの耐熱性能向上や、熱伝導率を高めた多層構造フライパンの開発が急速に進んだ。かつては「手抜き」と見なされがちだったフライパン調理が、省エネと時短を両立するスマートな生活の知恵として再評価されている。