低身長の着こなしに関して長年信じられてきた「長いワンピースは高いヒールや厚底靴で底上げすれば解決する」という言説には、大きな盲点が存在します。
服飾視覚論の観点から見ると、極端に高いヒール(8cm以上)や巨大な厚底ソールは、足元のみに極端なボリュームを発生させます。頭部の大きさ(頭身比率)に対して履物だけが巨大化するため、引きの目線で見ると「台座の上に無理に乗っている」ような不自然なバランスを周囲に知覚させてしまいます。また、歩行時に膝が曲がりやすくなり、前傾姿勢になることで姿勢全体の美しさを損ねるリスクも伴います。
真にスタイル良く見せる鍵は、靴の高さに依存することではなく、「首・手首・足首(三首)」の露出面積のコントロールです。足首を完全に覆い隠すのではなく、細い足首がチラリと覗く着丈を選ぶことで、人間の脳は隠れている脚全体を細く長いものとして無意識に補完(補完錯視)します。スニーカーや1〜3cmのフラットシューズでも驚くほどすっきりと見えるのは、この視覚補正が正しく機能している場合のみです。