金融再編の綱引きが続く舞台裏で、一般利用者が肌で感じているのは、極めて実利的な恩恵だ。金利上昇の恩恵をいち早く預金者に還元すべく打ち出された独自定期預金や、子育て世帯・シニア層をターゲットにした特別金利の住宅ローンである。この大胆な一手により、他行からの預金シフトが目に見えて加速している。
徹底した対面対話とエリア密着のリテールバンキングが、ここにきて凄まじい威力を発揮している。ネット銀行の数字上の低金利に惹かれていた個人の顧客が、金利改定を機に再び地元の窓口へと足を戻し始めた。「預金金利が動く時代だからこそ、顔の見える担当者に相談したい」。北九州市内の営業店で取材に応じた60代の自営業者は、迷わず乗り換えを決めた理由をそう語った。利用者の資産形成を支える独自優遇は、防衛策であると同時に、攻めの顧客囲い込み策として機能している。