今夜の夜空を語る上で外せないのが、現代の名工として知られる花火師・青木昭夫氏の存在だ。幾重にも色が変化しながら完璧な同心円を描く「八重芯変化菊」。そのコンマ一秒の狂いも許さない星の配列には、何世代にもわたって技術を受け継いできた煙火製造業の執念が宿る。
「火薬を詰める手の感触、火薬が湿気を吸うわずかな音。すべてが自然との対話だ」
火薬庫の片隅で青木氏が語った言葉が蘇る。日本の伝統文化として受け継がれてきた花火大会は、単なる夏の風物詩ではない。暗闇に放たれる一瞬の光に、職人たちは命を削るようにして自らの技を刻み込んでいる。今夜打ち上がる尺玉一つひとつに、日本の職人技の極致が凝縮されている。