別所沼のほとりには、昭和初期の天才詩人・建築家である立原道造が情熱を注いだ小さなアトリエ、ヒアシンスハウスが佇んでいる。わずか5坪ほどの小空間でありながら、窓の配置や光の採り込み方に至るまで緻密に計算された意匠は、建築ファンのみならず多くの旅人を魅了してやまない。立原自身は若くして病に倒れ、生前にこの小屋が建つことはなかったが、半世紀以上の時を経て市民と専門家の手により図面通りに現実の空間として甦った。
近代、この一帯は多くの芸術家が居を構え、「浦和画家」と呼ばれる文化の潮流を形成した土地でもある。光と水が織りなす独自の景観が、表現者たちの創作意欲を刺激し続けた証左といえよう。現在、建物の内部は週末や祝日を中心に限定公開されており、ボランティアスタッフによる丁寧な解説とともに、当時の設計思想を肌で感じることができる。