独自取材によって、これまで厳重に伏せられていた主要キャストの顔ぶれが判明した。主演の役所広司が演じる寡黙な森林管理人に対峙する検事役に、実力派として国際的評価を高める西島秀俊がキャスティングされていたのだ。さらに、物語の発火点となる失踪事件の鍵を握る若者役には、オーディションで抜擢された新鋭・河合優実の名が挙がっている。
撮影現場を知る制作スタッフは、異様な緊張感をこう振り返る。「監督は役所さんと西島さんに対し、あえて事前に台本をすべて渡さず、その場その場の即興で心理のズレを引き出そうとしていました。森のロッジに二人が閉じ込められるシーンでは、丸二日間にわたって長回しが続けられ、スタッフ全員が息を呑んでモニターを見つめていた。台詞の合間にある長い沈黙こそが、この映画の真骨頂です」。名匠と俳優陣の神経戦が、フィルムに生々しい摩擦熱を焼き付けている。