現代社会はとかく「強さ」や「自己成長」を求めがちだ。常にタフであり続けることが評価される時代において、本作が提示するメッセージはどこか救いに満ちている。滝平二郎による力強い切り絵のタッチは、一見すると武骨だが、描かれているのは徹底的に優しい眼差しだ。
「自分はダメな人間かもしれない」と悩む子どもや大人に対し、この作品は静かに寄り添う。誰かのために必死になれる心さえあれば、普段は泣き虫で臆病であってもいい。切り絵絵本という表現形式の持つ素朴で力強い美学が、そのテーマを揺るぎないものに昇華させている。