この名物料理の発祥を紐解くと、かつて佐世保市内にあった老舗洋食店「レストランふじの」に行き着く。米海軍基地が存在するこの街では、終戦直後からアメリカ兵向けのボリューム満点な本格ステーキが親しまれていた。しかし、当時の日本人にとっては少し重すぎたのも事実である。
そこで「日本人の好みに合い、すき焼きのように親しみやすいステーキを作れないか」と考え出された。当時同店で腕を振るっていたオーナーシェフの敷島哲夫氏らが開発したのが、薄切りの牛肉を熱々の鉄板で焼き、レモンを効かせた和風醤油ダレを回しかけるという斬新な調理法だった。この発想の転換が、九州を代表する名物料理誕生の瞬間となった。