世間が抱くもう一つの大きな謎が、ドクター中松の資産と年収、そして莫大な選挙資金の出所です。彼は1990年代以降、東京都知事選挙をはじめ、参議院議員通常選挙、衆議院議員総選挙などに通算十数回以上も出馬してきました。
日本の公職選挙法において、都知事選の供託金は300万円、参院選比例区では600万円が必要です。得票率が有効投票総数の10分の1(知事選の場合)に届かなければ供託金は全額国庫に没収されます。中松氏がこれまでに没収された供託金の総額だけでも数千万円から1億円近くに達し、さらに選挙カーの製作費、事務所運営費、人件費を含めれば、選挙活動につぎ込んだ総額は数億円単位に膨らみます。
これだけの資金を湯水のように投じることができた背景には、複数の堅牢なキャッシュフローが存在していました。
- 特許ロイヤリティ収入:国内外の企業とのクロスライセンス契約や技術指導料。最盛期には年間数億円規模の不労所得があったと推計される。
- 不動産資産:東京都内の一等地に所有する「中松ビル」などの不動産価値。独自の建築デザインでも話題を呼んだ。
- 講演・メディア出演料・グッズ販売:1回数十万〜百万円を超える講演料に加え、「ラブジェット」やサプリメント「頭脳燃料」など、利益率の高い自社直販商品のロングセラー。
都知事選への出馬は、一部から「売名行為」「泡沫候補」と冷笑されることも少なくありませんでした。しかしマーケティングの視点で見れば、数千万円の選挙費用を投じることで数億円相当のテレビ露出と全国的知名度を維持し、自社製品の売上と国際的ステータスへ還元するという、極めて計算された「パーソナルブランディング投資」の側面を持っていたことは見逃せません。