政治学および組織統治の観点から導き出される本質的な結論は、首相と総裁の兼任構造は「迅速な政策推進力」と「党内抗争による国政停滞」という背反する諸刃の剣を抱えているという点です。
一人の人間に国家統治権力(首相)と党の人事・公認権力(総裁)が集中することは、強力なリーダーシップを発揮する上では極めて合理的です。政策や予算案が党の反発で頓挫するリスクを最小化できるからです。しかしその反面、党内ガバナンスが機能不全に陥った場合、首相の暴走を止めるチェック機能が失われる構造的リスクをはらんでいます。
有権者が政治の真実を見極めるために持つべき判断基準は至って明快です。時のリーダーが発言した際、「いま語っている言葉は、国益を見据えた首相としての発言なのか、それとも総裁選や党内結束を意識した総裁としてのポジショントークなのか」を冷徹に峻別することです。この視点を持つだけで、表面的なパフォーマンス報道に惑わされず、政策の本気度と永田町の裏の意図を正確に読み解くことが可能になります。