給食で乳飲料が提供されるようになった背景には、第二次世界大戦後の深刻な食糧難と国際関係の歴史が存在します。終戦直後、栄養失調に苦しむ日本の子どもたちを救済するため、LARA(アジア救済公認団体)やユニセフからの支援物資として提供されたのが「脱脂粉乳(スキムミルク)」でした。
当時は大きなアルマイトのやかんから独特の臭気がある温かい脱脂粉乳をお玉で注ぎ分けて飲んでおり、当時の子どもたちにとっては決して飲みやすいものではありませんでしたが、貴重なタンパク源として命をつなぎました。その後、1954年に「学校給食法」が制定され、パンとミルクとおかずが揃った「完全給食」の普及が国策として推進されます。
昭和30年代後半から40年代にかけて、日本の酪農振興と冷蔵設備の普及に伴い、脱脂粉乳は段階的に現在のような冷たい生乳(牛乳)へと置き換わっていきました。つまり、給食の牛乳は単なる一食材にとどまらず、戦後復興と日本の食生活改善運動のシンボルとして制度化されてきた歴史的背景を持っています。