重厚な死のドラマに瑞々しい光を与えたのが、当時若手として類まれな表現力を発揮していた神木隆之介の存在だ。彼が演じた息子・岳は、花言葉をすべて記憶し、風や大地の声に耳を傾ける純粋な魂の持ち主。父への恨みも偏見も持たず、ただそこにある命を全肯定する岳の無垢さが、死に怯える貞美の心を少しずつほどいていく。
さらに、姉のルイを演じた平原綾香が歌う主題歌『ノクターン』と『カンパニュラの恋』は、ショパンの名曲に情緒あふれる日本語詞を乗せ、物語全体を包み込む祈りとなった。平原の深みのある歌声と神木の透明感あふれる演技が重なり合い、単なる悲劇にとどまらない、再生の賛歌としての深みを与えている。