「南国の秘境でしか見られないのでは」と思われがちですが、イチゴミルクウミウシの生息地は太平洋からインド洋の熱帯・温帯域に広く分布しています。日本国内でも黒潮の影響を受ける本州中部以南の岩礁域に定着しており、関東近郊のダイバーにとってはおなじみのフィールドである伊豆半島(富戸、伊豆海洋公園、大瀬崎など)や、三浦半島、紀伊半島、八丈島、奄美大島、沖縄本島周辺の水深3m〜20m前後で観察記録が豊富に存在します。
観察に適したシーズンは、水温が安定しウミウシの発生ピークを迎える冬季から初夏(12月〜翌年6月頃)です。ダイビングショップのガイドログによると、波当たりの少ない静穏な入り江の転石下や、岩肌の窪み、カイメンが群生するドロップオフの壁面に潜んでいるケースが大半を占めます。
彼らは光を嫌う性質(負の走光性)をわずかに持つため、日中は岩の割れ目やオーバーハングの裏側に隠れていることが珍しくありません。ダイビングで探す際は、水中ライトを斜めから当て、岩肌の陰影を丁寧に探していく粘り強いマクロサーチが発見の鍵を握ります。