インターネット上や旧来的な職場環境には、いまだにメンタルの不調に関する危険な誤解が根強く残っています。これらを鵜呑みにして誤った対応をとると、回復を大幅に遅らせることになります。
第1の誤解は、「旅行や激しい運動で気分転換をすれば治る」というものです。エネルギーが枯渇している状態で無理にアクティブな予定を詰め込むと、脳と身体にさらなる負荷をかけ、かえって症状を悪化させます。必要なのは「活動的な気晴らし」ではなく、「完全な脳の休眠」です。
第2の誤解は、「ポジティブ思考を意識すれば立ち直れる」という精神論です。神経伝達物質が不足している状態の脳に対し、「前向きになれ」と命じるのは、骨折した足で走れと命じるのと同義です。ネガティブな思考パターンは性格の歪みではなく、脳のエネルギー切れによる生理的な副産物に過ぎません。
第3の誤解は、「一度精神科や心療内科に行くと一生薬を飲み続けなければならない」という偏見です。早期に適切な治療を開始すれば、ごく少量の処方や生活指導のみで数ヶ月以内に寛解し、投薬を終了できるケースが大半を占めています。