本作のキャスティングが語り草となっている最大の理由は、知名度を一切度外視した「ガチオーディション」の徹底にある。1000人を超える応募者の中から選ばれた基準は、単なる芝居の上手さだけではなく、キャラクターそのものとしてのリアリティと合唱音楽への適性だった。
歌唱指導の現場は熾烈を極め、キャスト陣は数カ月間にわたるパート別レッスンや合同合宿を経験。吹き替えなしの生歌で感情を伝えるという無謀とも思える挑戦が、役者同士の絆を劇中の合唱部さながらに強固なものへと育て上げた。画面越しに伝わるあの一体感は、作られた演技を超えた本物のドキュメントだったといえる。