手を通じて他者の肉体に触れるという濃密な営みは、映像表現の格好の題材となってきた。中国の映画監督ロウ・イエによる名作『ブラインド・マッサージ』は、視覚障害を持つ施術者たちの喜び、葛藤、そして皮膚感覚を通じて交錯する情念を生々しく描き出した。光を失った者たちが手のひらで世界を再構築していく様は、触覚という感覚器官の神秘を雄弁に物語る。
対照的に、手技の力を痛快なポップカルチャーへと昇華させたのがテレビドラマ『マッサージ探偵ジョー』だ。極度の人間嫌いでありながら卓越した指圧の腕を持つ主人公が、顧客の凝りをほぐす過程で身体の癖から隠された事件の真相を解き明かしていく。コメディ仕立てでありながら、筋肉のこわばりに人間の人生や感情が宿るという真理を巧みに突いていた。
近年では「Netflix」をはじめとする動画配信プラットフォームでも、心身のウェルネスや東洋的身体観を扱ったドキュメンタリーが世界的なヒットを記録している。画面の向こう側のフィクションに惹きつけられた視聴者が、自らの身体感覚を取り戻すために現実のサロンへと足を向けるサイクルが生まれている。