杏さんのキャリアを語る上で欠かせないのが、2013年度後期のNHK連続テレビ小説『ごちそうさん』です。食を通じて人々と絆を結んでいくヒロイン・卯野め以子役を演じ切り、期間平均視聴率22.4%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)という驚異的な大ヒットを記録しました。早朝の食卓に毎朝届けられた彼女の快活な食べっぷりと、大正・昭和の激動を生き抜く力強い演技は、お茶の間の心を完全に掴み、国民的女優としての地位を不動のものにしました。
続く2014年には、池井戸潤原作の日テレ系ドラマ『花咲舞が黙ってない』に主演。「お言葉を返すようですが!」の決め台詞とともに、メガバンクの理不尽な不祥事や不正に切り込む痛快な銀行員役は、視聴者の日頃の鬱憤を吹き飛ばす圧倒的な爽快感をもたらしました。第1シリーズの平均視聴率は16.0%、翌2015年の第2シリーズでも平均14.5%を維持し、名実ともに「視聴率の獲れる主演女優」としての評価を確立したのです。
さらに2015年のフジテレビ月9『デート〜恋とはどんなものかしら〜』では、徹底的な合理主義者で恋愛力ゼロの国家公務員・藪下依子役を熱演。アヒルのような独特の決めポーズや硬質なセリフ回しなど、従来の美貌を封印したコミカルな怪演が高く評価され、ザテレビジョンドラマアカデミー賞主演女優賞を受賞するなど、役者としての表現の幅を世に見せつけました。