2002年8月2日、フジテレビ系列の2時間ドラマ枠「金曜エンタテイメント」で放送された『実録 福田和子』は、関東地区で22.3%という異例の高視聴率を叩き出しました。当時のテレビ界では実録犯罪ドラマがひとつのトレンドとなっていましたが、本作の熱量は群を抜いていました。
物語は、愛媛県松山市で同僚ホステスを絞殺し、家財道具を奪って逃走した福田和子の14年11か月におよぶ逃亡生活を克明に描いています。時効まであと21日という極限状態での逮捕劇までを、ドキュメンタリータッチのリアリズムと濃厚な人間ドラマで見事に昇華させました。
放送当時のSNSが存在しない時代であっても、翌日の学校や職場、ネット掲示板の「2ちゃんねる(現5ちゃんねる)」では「大竹しのぶの目が本物の犯罪者にしか見えなかった」「怖すぎて眠れなくなった」といった書き込みが殺到。単なる再現ドラマの枠を完全に超え、人間の業と情念を抉り出した傑作としてテレビ史にその名を刻みました。