彼女の美貌と勝気なバイタリティのルーツは、その生い立ちと実家の環境に深く根ざしています。滋賀県近江八幡市出身の松居一代氏は、競艇選手であった父親のもと、勝負の世界の厳しさと徹底した自己規律を間近で見ながら育ちました。礼儀作法や整理整頓、そして自立心に対する厳格な教育が、後に彼女のトレードマークとなる強い精神基盤を形成したと自著やインタビューでも語られています。
芸能界入りの決定打となったのは、1979年に読売テレビ・日本テレビ系列の伝説的深夜情報番組『11PM』のカバーガールに抜擢されたことでした。当時20代前半だった彼女は、司会の藤本義一氏のアシスタント役として番組に華を添え、洗練されたプロポーションと聡明な受け答えで瞬く間に男性視聴者の視線を釘付けにしました。
その後、本格的な女優活動へ舵を切った彼女のキャリアにおいて、金字塔となったのが1987年公開の伊丹十三監督による大ヒット映画『マルサの女』への出演です。税務署の査察官と脱税者たちの攻防を描いた同作で、松居一代氏は主人公と対峙する愛人役を熱演。激しい感情の起伏と妖艶さを堂々と演じきり、映画評論家や業界関係者から「美貌に甘えない実力派女優」として極めて高い評価を獲得しました。テレビドラマやサスペンス劇場でも重宝され、映画やドラマの過去の出演作リストには数々の名作が名を連ねています。