化粧まわしの圧倒的な存在感を支えているのは、日本の伝統織物技術です。その大半は京都の「西陣織」や福岡の「博多織」の老舗工房で仕立てられています。
土台となる帯地は、通常の着物帯とは比較にならないほど分厚く密に織られた正絹(シルク)です。その上に、綿などを詰めて立体感を出す「肉入れ(肉盛り)刺繍」を施し、純金糸や純銀糸、色鮮やかな絹糸を一針一針縫い込んでいきます。
このため、完成した化粧まわしの重量は約7〜10kgにも達します。一般的な帯の重さが1kg未満であることを考えると、どれほど重厚な織物であるかが分かります。制作期間は図案のデザイン決定から生地の織製、手刺繍、フリンジ(馬簾=ばれん)の取り付けまで含めると、通常でも3ヶ月から半年以上を要します。十両昇進が決まる「番付編成会議」から本場所初日までは約2ヶ月しかないため、昇進が見込まれる有望力士に対しては、後援会が前もって内密に制作を進めるのが通例です。